2012年7月29日。久しぶりにパソコンに向かっている。今日も暑かった。列島は容赦ない熱波にさらされ、どうにもアイスが手放せない。慌ただしかった7月も終わる。ヨーロッパツアーを含め、手帳を埋め尽くしたスケジュールもどうにかこなすことができた。疲れもあるが、充実感や満足感がはるかにまさる。

  エッセイは、ひと月振りとなってしまったが、書くことはたくさんある。今年書いたエッセイには 『九十九ボーイ・第2部 欅物語』 『安房狂想曲』 『土と記憶』と 「つづき」 のまま完結していないシリーズがみっつもある。この中のどれかを書き進めたいという気持ちもあったが (本当はどれも続きを書きたくてうずうずしている。成蹊の同級生、館山のみんな、ごめんね〜) 27日から始まったオリンピックが気になって仕方がない。という訳で、テレビの前に陣取って書くことにした。ひとり用の細長いテーブルにパソコンを置き、畳の敷物に腰をおろして、競技の経過を見ながらリアルタイムでつぶやいてみようと思う。昨今、つぶやきというとツイッターが連想されるが、今編は、ツイッターのエッセイ版だと思っていただいていい。テレビをつけ、パソコンの脇には冷えたアイスコーヒーを置いた。

<柔道応援中>
  25日の女子サッカーを皮切りにオリンピックの競技が始まってまだ4日目だが、日本人選手の活躍は感動的だ。ああ・・・。女子柔道52キロ級の中村美里選手が初戦で北朝鮮のアン選手に敗れた。初戦から北京で敗れた因縁の相手にあたるなんて巡り会わせが悪かった、と言ってしまえばそれまでだが、勝負の世界は厳しい。そして、非情だ。まだ2日目だが、すべての階級でメダルが期待されていた女子柔道が震わない。28日の48キロ級福見友子選手といい中村選手といい、メダル確実とされていたふたりが惨敗した。オリンピックで自分の力を出し切ることがどれほどむずかしいかを物語っている。その代わりといっては失礼かもしれないが、ここ数年沈んでいた男子柔道が健闘している。60キロ級では、平岡選手が銀メダルを獲得した。66キロ級では海老沼選手が好発進した。

<マリーンズ応援中>
  ケーブルテレビでは、野球放送もやっている。一応、試合経過だけは把握しておきたい。マリーンズとホークスが熱戦を繰り広げている。胸に 『CHIBA』 と入ったユニホームがまぶしい。もちろん、ぼくは発売になるやすぐに手に入れた。このユニホームを着て応援できるのはいつになるか。ああ、マリーンズはホークスに4対2で敗れた。首位をキープしているとはいえチームは、いっぱいいっぱいだ。投手陣の不調を考えると、このまま首位で行けるとは思えない。悔しいが、今年もAクラスは厳しいだろう。よくて3位か。秋になって、うれしい誤算だったと謝らなければならないような展開になったらうれしいのだけれど。

<女子ウエイトリフティング53キロ応援中>
  がんばれ、八木選手!28日の48キロ級の三宅選手の銀は立派だった。印象深かったのは、バーベルに向かう彼女の表情。無我の境地とはこのような顔をした人のことを言うのではないかと思えるほどスッキリとした顔をしていた。この日のためにすべてをやりつくしたのだろう。結果は目に見えていた。オリンピックは、このような表情を見られるだけでも価値がある。

<柔道応援中>
  うわっ、フランスの選手が負けた。これで4人のシード選手が負けた。同じシードの海老沼選手はだいじょうぶだろうか。ライバルと目された選手がどんどん敗れていくのはいいが不安もある。よしッ!海老沼選手の背負いが決まった。次だ。準々決勝進出だ。

<休憩中>
  応援するにもエネルギーがいる。お腹が減った。ちょっと休憩。蕎麦を茹でる。100パーセント蕎麦粉の乾麺。6分茹で2分蒸らす。蕎麦湯もいける。納豆と自分で作った胡瓜とトマトも添える。好きな蕎麦猪口でススっとすする。

<柔道応援中>
  準々決勝で海老沼が韓国のチョ選手に判定負け?・・・いや、なんだ?旗判定のやり直しだ。で・・・、海老沼が勝った。判定勝ちだ。しかし、これではチョ選手がかわいそうだ。そもそも、ゴールデン・スコア方式 (先にポイントを取った方が勝ち) の延長戦に入って、海老沼は小内刈りで有効を取り、一度勝ちを宣言された。そこでも、ジュリーという影の審判の判断で判定が覆った。ジュリーとは、誤審を防ぐために主審や副審とは別に試合をチェックしている審判委員で、判定にビデオを使用することもある。柔道は、いつからなのか、この影の審判が権限を持つようになったようだ。誤審は悲劇を生むから仕方がないのかもしれないが、選手のためにしっかりした判定をしてほしい。

<バスケット観戦中>
  アメリカ対フランス。今回、アメリカはドリームチームを編成してきた。コービー・ブライアント、ケビン・デュラント、レブロン・ジェームス等、NBAのスーパースターが勢揃いだ。でも、じっくり見ている暇はない。失礼!

<柔道応援中>
  うわ〜、海老沼選手がグルジアの選手に惨敗・・・。一本負けだ。悔しい。でも、3位決定戦がある。銅メダルは死守してほしい。それにしても、柔道は優勝するまでに5試合も熟さなければならない。体力と精神力が充実していなければ勝ち上がってはいけない。楽に勝てる競技などないということだ。

<休憩中>
  熊本で生まれたかき氷しろくま用意。豆乳用意。しろくまに豆乳を注ぐ。スプーンでササッとかいて食べる。ははは。うまい!以前は牛乳だったが、最近は豆乳が中心。体のことも考えないとね。

<柔道応援中>
  さあ、3位決定戦だ。がんばれ、海老沼!(画面から目を離せない・・・・) わあああああああああああああああ!いっぽ〜〜〜〜〜〜ん!!なんという見事な一本!これほどあざやかな一本は今大会初めてだ。すごいぞ、銅メダル!「よっしゃ〜〜!」 思わず叫んでしまった。そして、同じ3位決定戦で、韓国のチョ選手も銅メダルを獲得した。よかった!ふたり並んで3位の表彰台に立つことになった。笑顔で握手を交わしてほしい。女子は中村選手を破ったアン選手が決勝を戦っている。さあ、どうなる。

  アン選手は素晴らしい試合内容で勝った。金メダルだ。おめでとう。中村選手を破ったアン選手が北京の銀メダルに続いて、金メダルを獲得した。やはり、勝負の綾だった。中村選手、次がある。

  今夜は、まだ男子サッカーのモロッコ戦や水泳決勝等興味深い競技が残っているが、今日はここまで。皆さん、暑さに負けずにがんばりましょう。ごきげんよう!

P.S. アーチェリー女子が銅メダルを獲得した。女子のアーチェリー史上初のメダルだそうだ。おめでとう!

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